オバマケアの失敗 | 生活習慣病の予防

オバマケアの失敗

外来で患者さんに本を勧められて読んでみた。

『沈みゆく大国 アメリカ』 集英社新書 堤 未香 著 2014年11月 第一刷発行


本書によると、米国国民に国民皆保険制度を与えようとするオバマ大統領の試み;オバマケアは、完全な失敗に終わったようだ。わが国の国民皆保険制度のありがたみを実感するとともに、日本の官僚制度にも良いところがあるのではと思わされた。米国では、政府機関職員と実業界の交流が盛んといえば聞こえは良いが、一方で自分たちの商売に都合が良い政治のルール作りをしている人たち(回転ドアをくぐる人たち)がおり、米国の制度を改悪することもあるようだ。


我が国の、実業経験のない頭でっかちの官僚にも、存在価値は十分あるのかな。回転ドア制度は、政権交代により政策スタッフが入れ替わるから良い制度だという見方は、甘すぎるようだ。業界は、2大政党のどちらにも大量の資金と共にロビイストを送り込むからだ。


オバマ大統領、残念ながら、米国の医療事情を改善するのには、力不足だったようだ。もっともオバマ大統領一人の責任に帰するのは正しくないのだろう、改善しようとした事は確かなのだから。米国の医師たちには、医療をビジネスとして人倫を踏みにじる保険業界に全力で反撃してほしい。ふりかえってわが国も、国民皆保険制度を維持するために、無駄な医療費を削減する自浄作用が必要なのだろう。