リンの適正摂取について | 生活習慣病の予防

リンの適正摂取について

Ⅰ リン欠乏で死ぬことはあるか?

 

 戦国時代に籠城が終わった武士で、握り飯だけ食べた人は死んだが、肉や魚を一緒に食べた人は助かったという話があり、これは炭水化物摂取によりリンが細胞内に移動し低リン血症が悪化したためだという。

 ブドウ糖は解糖系により最終的にエネルギー通貨といわれるATP(アデノシントリリン酸)になるため、ブドウ糖が細胞内に取り込まれるときはリンも一緒に取り込まれる。低リン血症の人がブドウ糖だけ摂取すると、低リン血症が悪化するということ。

 現代で籠城後の武士並みに低リン血症になりうるのは、例えば重度のアノレキシアの患者などでしょうか。

 

Ⅱ リン過剰で寿命が短縮する? Klotho遺伝子

 

•1991年  黒尾誠先生が老化促進マウスをたまたま作成

  Klotho=“ギリシア神話で生命の糸を紡ぐ神”

•1997年  Nature “Klotho”遺伝子の同定

•2006年 Klotho蛋白=FGF23受容体

 

リン摂取→成熟骨細胞がFGF23を産生

  ↓腎で

①近位尿細管細胞のFGF23受容体に作用してリン再吸収抑制

②1α水酸化酵素発現抑制→活性化ビタミンD↓→血中iP↓

 

•マウスの普通の餌はリン含有量0.35%

  ↓

 リン制限食により寿命が延長した

 

•血中リン濃度と寿命は逆相関する(マウス)

 

•ヒトでも血中リン濃度が高いと全死亡率が高い

 2.5~4.0と正常範囲内で。(Toneli M Circulation)

 

リンの過剰摂取は石灰化や動脈硬化の促進につながる。

 

現代の食生活はリン取り過ぎ

 

•食品添加物・・・無機リンが多い

 増粘多糖類、PH調整剤などリンと書いていないが・・・

 加工肉(ハム、ソーセージ)、プロセスチーズなど要注意。

 

解説;プロセスチーズとは

 食品添加物を入れ、成形してあるチーズ。6Pチーズなど。実はプロセスチーズは日本以外ではあまり作られていない。

 ナチュラルチーズには食品添加物が入っていない。シュレッドチーズはナチュラルチーズ。ゴーダ(オランダ)、チェダー(イギリス)、モッツァレラ(イタリア)、ゴルゴンゾーラ(イタリア)、ロックフォール(フランス)、パルミジャーノ(イタリア)、ブリー(フランス)、エメンタール(スイス)、エダム(オランダ)、ミモレット(フランス)、ステッペン(ドイツ)、マリボー(デンマーク)などはもちろんナチュラルチーズ。(思わずチーズ愛が炸裂してしまいました)  

 

•食品のリン吸収率;

 植物:50%以下、肉:90%以上

 大豆などはリン含有量が高くてもリンの生体利用率が低い。